ロコモとは

ロコモティブ

運動器の障害によって、移動機能が低下している状態をロコモティブシンドローム(locomotive syndrome:通称ロコモ、運動器症候群)と言います。
人間が立つ、歩く、作業するといった、広い意味での運動のために必要な身体の仕組み全体を運動器といいます。運動器は骨・関節・筋肉・神経などで構成されていますが、これらの組織の障害によって立ったり歩いたりするための身体能力(移動機能)が低下した状態が、ロコモです。ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクが高くなります。

ロコモの原因

ロコモと診断される方の多くは、加齢による筋量の低下(サルコペニア)やバランスの能力の低下などによる運動器機能不全、運動器そのものの疾患(変形性膝関節症や変形性脊椎症など関節や脊椎が変性する病気、骨粗しょう症 等)などによって、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板などの部位の障害で歩く、座るといった日常生活動作がままならない状態になっていきます。なおロコモは、早い方であれば40歳頃から始まると言われています。

運動器の疾患

変形性膝関節症、骨粗鬆症、関節リウマチ、変形性脊髄症、背柱管狭窄症、骨折、四肢・体幹の麻痺、腰痛、肩こりなど

加齢に伴う運動器の機能低下

四肢・体幹の筋力低下、体力・全身耐久性の低下、筋短縮や筋萎縮による関節可動式制限、関節や筋の痛みなど

運動器の疾患や、加齢に伴う運動器の機能低下によって、立位・歩行機能やバランス機能、巧緻性、運動速度、反応時間、深部感覚などが低下し、屋内外の移動やトイレ・更衣・入浴・洗面などの日常生活活動に介助が必要な状態となっていきます。身体が思うように動かないことで外出するのが億劫となり、家に閉じこもりがちとなると運動の機会が減り、さらに運動器の機能低下が進みます。容易に転倒しやすくもなり、怪我や骨折のリスクも高くなります。

ロコモティブ

自覚症状がなくても注意

便利な移動手段の多い現代社会では、日常生活に支障はないと思っていても、ロコモになっていたり、すでに進行したりしている場合が多くあることが分かっています。また、高血圧など生活習慣病のある人は比較的若い頃からロコモの原因となる病気にかかりやすいことも分かってきました。

ロコモ度の確認を

以前にも増して体の衰えを感じるようになった、普通に歩いているだけなのにつまずきやすくなっているなど、ロコモの可能性を感じているという方は、日本整形外科学会公式のロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト内の「ロコチェック」にて、ロコモ度を確認してください。なお以下で紹介する「ロコチェック」7項目のうち、ひとつでも該当する項目があれば、ロコモティブシンドロームの可能性があります。

1つでも該当すればロコトレを

ロコモティブ

チェックの結果、該当項目が1つ以上あった方は、0を最終的な目標として、ロコモーショントレーニング(ロコトレ:主な内容は、片脚立ち、スクワット、筋力トレーニング機器を用いた訓練 など)を行うようにしましょう。また原因疾患がある場合は、その治療を優先するようにします。

ロコモとの診断を受けた、あるいはその予備群であると指摘された場合は、個々の症例によって異なりますが、基本的には、筋力の強化、歩行訓練などを行うほか、バランス強化や歩行の安定性に努めるようにします。